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鍼灸 | セドナ整骨院・鍼灸院・カイロプラクティック 公津の杜院の記事一覧

スポーツによる痛み

2021.01.04 | Category: 整体,鍼灸

こんにちは!セドナ整骨院・鍼灸院です。今回はスポーツ障害についてお話させていただきます。

スポーツ障害とはスポーツによって起こるケガで、オスグッド病やシンスプリント、疲労骨折、腰椎分離症、野球肘やゴルフ肘などがあります。

コロナ禍でストレス解消の為にスポーツを始めた方も多く、当院でもスポーツ障害での来院が増えてきています。では何故スポーツ障害が起こるのでしょうか?

起こる原因として、スポーツ動作によって負荷が繰り返し身体にかかることで、負荷部分が損傷する事で痛みを引き出します。痛みは慢性的な症状で、いわゆるオーバーユース(使いすぎ症候群)とも言われています。

症状としては軽いものから、日常生活に支障をきたすほど重いものまであります。多くの患者様は違和感が出てから痛みが増すまで我慢してスポーツを行い続け、痛みがひどくなってから来院されることがほとんどです。

スポーツでの怪我には他にはスポーツ外傷と呼ばれるものもあり、これは骨折や脱臼、捻挫や肉離れ、打撲などがあり、急性のケガのことを指します。

これは足を捻ったり、ぶつけたなど一度の外力によって損傷し痛みを引き起こします。実はスポーツ障害とスポーツ外傷では、スポーツ障害の方が治りにくいものになります。

なぜならば、スポーツ障害の方が長い時間をかけて症状を引き起こしているため、治癒にも時間がかかってしまうためです。

またスポーツ障害では、圧倒的なケア不足や悪い運動動作が原因で起こすことが多く、当院では治療で症状の改善はもちろんですが、セルフケア方法や運動動作の改善が必要になってきます。

こういった事から、スポーツ障害の治療は患者様本人の知識を深めていただくことも必要になります。知識を深めて、症状の改善を目指していくと共に今後の予防にもつながっていきます。

競技別起こりやすい代表的なスポーツ障害

テニス・・・テニス肘(外側上顆炎)

バレーボール・・・オスグッド病・腰椎分離症

野球・・・野球肘・野球肩・腰椎分離症

ゴルフ・・・ゴルフ肘(内側上顆炎)・腰椎分離症

サッカー・・・グローインペイン(鼠径部症候群)・オスグッド病・腰椎分離症

バスケットボール・・・オスグッド病・ジャンパーズニー(膝蓋靭帯炎)・腰椎分離症

ランニング、マラソン・・・足底腱膜炎・ランナーズニー(腸脛靭帯炎)

上記のように、スポーツによっても起こりやすいスポーツ障害が変わってきます。スポーツの競技特性などの把握、適切な練習量が行われているか、現場でケアが徹底されているかも確認しないといけません。

最近では、子供のスポーツ障害・外傷が多くなっています。理由としては、スポーツの競技レベルが高くなっていることが上げられます。

昔に比べ、科学も発達した世の中では子供への求めるレベルが高くなっている事もあり、大人と同じ動きを求められることがありケガに繋がってしまうのです。

また、競技自体も多種多様になり、指導者側の怪我に対しての知識不足も問題に上がっています。当院に来院された患者様にお話を聞くと、ストレッチ指導や適切な処置をされずにひどい状態になってから相談に来たということもありました。

子供に多いスポーツ障害

オスグッド病

オスグッド病は多くは10~15歳の成長期の子供に発症します。膝の脛骨と呼ばれる骨には、脛骨粗面といわれる部位があり、そこには前腿の筋肉「大腿四頭筋」が「膝蓋腱」となり付着します。

大腿四頭筋は、主に膝を伸ばす働きを持っています。膝を伸ばすことの繰り返しにより、大腿四頭筋が緊張し、付着部である脛骨粗面の成長線に過剰な負荷がかかり、炎症を引き起こします。この時期は急激に骨が軟骨から成長する時期で、骨自体が柔らかいため重症化すると骨が剥がされる「剥離骨折」を引き起こしてしまいます。

オスグッド病は子供に発症し、バスケットボール・バレーボール・サッカー・テニス・野球・陸上などのジャンプやダッシュが多い競技でよく見られます。また、水泳やダンスなどでも起こり、どの競技でも見られます。

また、骨の成長に筋肉が追いつけず、骨に筋肉がついているところ(付着部)が引っ張られ、炎症を起こします。これが膝で起こったのが「オスグッド病」と呼ばれるものです。

そもそも成長痛とは成長期の子供に多くみられる痛みの総称で、骨の骨端線といわれる骨が成長する部分での炎症です。軽度な場合は運動ができるため、痛いながらも練習を休まず続けている方がほとんどです。無理して運動を行っていると先述したように、重症化し、剥離骨折を引き起こします。

また、痛みによって練習効率が悪くなり、パフォーマンスの低下も見られます。更には痛みをかばってしまい、体の歪みや、新な怪我のリスクも高くなってしまいます。

このようなことから、成長期からしっかりとしたケアが必要になってきます。

ですので、いかに周りにいる大人がオスグッド病の事を理解し、予防やケアが行える環境にいるかも重要です。

セルフケア方法としては、大腿四頭筋のストレッチやマッサージやふくらはぎのストレッチ(腓腹筋・ヒラメ筋)などがあり、そして練習を行う際にはサポーターやテーピングなどで負荷を減らしていきます。

子供はまめにストレッチできることが少ないので、保護者や指導者の方の協力が必要です。当院ではセルフケアを指導する際、保護者の方と一緒に行うようにしています。

そして運動動作では、膝の屈伸動作の改善を行います。

膝が内側に入るKnee-in動作や、膝蓋骨の動きの確認、股関節の屈曲、足関節の背屈制限などがありそれらは患者様本人の動作を見てどこに問題があるのかをチェックしていきます。

これは、専門的な知識が必要になってきます。セドナ治療院グループではスポーツ現場を経験したスタッフが在籍しておりますので、しっかりとフォローを行えることができます。

テニス肘

テニス肘とは、正式名称は外側上顆炎といいます。中年以降の成人に多く生じ、テニスに多く起こるのでテニス肘と呼ばれています。

前腕にある長橈側手根伸筋、短橈側手根伸筋、総指伸筋と呼ばれる筋肉が、肘の外側、上腕骨外側上顆と呼ばれる骨の部位に付着し、引っ張ることで骨膜の炎症が起こり、痛みが生じます。

日常生活で物を持ちあげたり、パソコンのタイピング動作、タオルを絞るなどでも痛みが出ることがあります。

検査方法として、次の3つが上げられます。

1. Thomsenテスト

手首(手関節)を曲げるようにして、患者様には肘を伸ばしたまま施術者の力に抵抗して手首(手関節)を伸ばす。

2. Chairテスト

患者様に肘を伸ばしたまま手で椅子を持ち上げてもらう。

3. 中指伸展テスト

中指を上から押さえるのに抵抗して、患者様に肘を伸ばしたまま中指を伸ばしてもらう。これらの検査で肘に痛みが出た際は、テニス肘が疑われます。

テニス肘の場合、バックハンド動作が多くなると痛みが生じやすいです。

何故ならば、そのバックハンドの動きで再程上げた前腕の長橈側手根伸筋、短橈側手根伸筋、総指伸筋と呼ばれる筋肉が収縮し、その結果骨の表面を引っ張ってしまい、炎症を引き起こします。

ですので、バックハンドでの素振りが多くなってくると要注意です。

繰り返しの動作で前腕の長橈側手根伸筋、短橈側手根伸筋、総指伸筋が筋疲労を起こし筋肉の緊張性が高まり、牽引力を高めてしまうのです。

ですので、炎症を抑える治療はもちろんですが、前腕の長橈側手根伸筋、短橈側手根伸筋、総指伸筋の筋緊張を下げるためにこまめなストレッチ指導も必要になっています。

また、練習時にサポーターやテーピングなどで負荷を減らすことも可能です。動作の改善としては、素振りの動作改善を加えていきます。

問題は肘ですが肩や、腰部、股関節、膝、足関節など全身を見ることが必要です。肩に関しては肩甲骨の動きから、鎖骨などの動きを見ていきます。

腰部に関しては回旋の動作、肋骨の動き、股関節の可動性、膝のKnee-in動作、足関節の背屈制限はないかなどを見たうえで、動作改善指導を行っていきます。

足底腱膜炎

足底腱膜炎は、マラソンなどの競技者に多く見られ、朝起きて足をつくと踵もしくは土踏まずに痛みが生じ、歩くと徐々に痛みが和らいでいくのが特徴です。(痛みが悪化した場合は痛みが和らがなくなります)

足底腱膜とは土踏まずの部位にあり、足部の縦アーチを保持しています。スプリングのように歩いたときやジャンプの着地など、荷重時にショックを吸収します。

ランニングやジャンプ動作などで体重負荷が足部(踵)にかかる場合、足底腱膜は繰り返しの負荷によって腱が変性し、微小断裂や炎症が発生します。偏平足の方に多く、また体重の増加により足部への負荷が高まり生じることもあります。

また、併発症として外反母趾の方にも多く生じやすくなります。

何故ならば、外反母趾の方は歩行時に拇趾球での蹴りだしがうまくできず、足底腱膜のアーチを持ち上げる働き(ウインドトラス機構)が低下し、偏平足傾向になり足底腱膜のスプリング機能が著しく低下するためです。

こうしたことから足底腱膜炎で一番見なくてはいけないのは、足部のアライメント(配列)を見ていきます。

セルフケアとしては、足底腱膜のストレッチやマッサージになります。簡単なマッサージとしては、椅子に座った状態でゴルフボールを土踏まずのところで踏みコロコロと刺激を入れていきます。そうすることで、簡単に足底筋膜をほぐすことが出来ます。是非お試しください。

動作改善に関しては、足関節の柔軟性や偏平足の改善などを行います。

また、練習場所の確認(マラソンならトラックなのか、土のグランドなのか、コンクリートなのか)やシューズの確認を行うことで、症状の改善や予防をすることが可能です。

シューズに関しては、人によって足の形が違うため、合う、合わないが出てきます。その際はぜひご相談ください。

腰椎分離症

腰椎分離症は、腰痛の原因でもあり野球、バレーボール、バスケットボール、サッカー、柔道、ラグビー、ウエイトリフティングなど、頻回に体幹の前後屈、回旋を行うスポーツに多く見られます。

中学生ぐらいのスポーツ選手に発症しやすい腰痛の一つです。腰の骨の腰椎という骨の亀裂により起こる腰痛であるため、長時間経過観察をする必要があります。

症状としては腰の痛み、お尻の痛み、大腿外側の鈍い痛みで、背中をそらすと腰痛が増強しやすくなります。長時間の運動のみならず長時間の立位、座位、中腰姿勢でも起こりやすいですが、椎間板ヘルニアの様に足に痺れなどの神経麻痺症状を伴うことはありません。

先天性のものは遺伝によって腰椎が弱く、発生的に分離しているものになります。後天性のものは腰部の繰り返しのスポーツ動作によるストレスで起こる関節突起間部の疲労骨折になります。

腰部の柔軟性はもちろんですが、股関節の柔軟性、胸椎の可動性などの確認を行い、腰部への負荷を減らしていきます。

ジャンパー膝 膝蓋靭帯炎

ジャンパー膝とは、大腿四頭筋と呼ばれる筋肉が膝蓋腱を形成し、その膝蓋腱が炎症を生じたものになります。

ジャンプ動作の多いバレーボールやバスケットボールや、サッカーのキック動作やダッシュなどの走る動作を繰り返したりするスポーツに多くみられます。

原因としては大腿四頭筋の柔軟性低下があり、特に成長期の子供は骨の成長に筋肉の成長が追いつかず、筋肉の緊張が高くなり、膝蓋腱への負荷が増してしまうため症状を引き起こしてしまいます。12〜20歳、特に10代の男性に多く見られます。

セルフケアとしては大腿四頭筋のストレッチやマッサージを行うことで、大腿四頭筋の柔軟性を高めます。

動作の改善としてはジャンプの着地時に、股関節の連動性を高めることや膝のKnee-in動作の改善、足関節の背屈制限の改善などがあげられます。

また、ジャンプの着地ではスポーツ外傷が多く起こります。

膝の半月板損傷や前十字靭帯断裂、足関節捻挫などの怪我の受傷も多く見られるため、ジャンプの着地動作改善は怪我の予防にとても重要になってきます。

野球肩

野球肩とは、野球のように投球動作の中で肩関節に負荷がかかり、インピンジメント症候群や棘上筋腱炎などの肩関節障害で、主に肩の痛みが症状として起こります。

野球肩はオーバーヘッドスローイング動作を行うスポーツ全般で発症しますが、特に野球のピッチャー、キャッチャー、バレーボールのアタッカー、テニスのサーブ・スマッシュ時、アメリカンフットボールのQB、水泳(クロール、バタフライ)、ハンドボール、陸上競技のやり投などでも起こります。

肩関節障害の種類として、滑液包炎、棘上筋腱炎、上腕二頭筋腱炎、肩甲上神経麻痺による棘下筋萎縮、インピンジメント(impingement)症候群、上腕骨骨端線障害(リトルリーグ肩)など多くのものが含まれます。

様々な種類の障害があり、損傷部位も変わってきますので治療の時はまず鑑別が重要になります。

野球の投球動作は、ワインドアップ期、コッキング期、加速期、リリース減速期、フォロースルー期の5相に大別され、それぞれの期において受傷原因が異なります。

ですので、どの期で痛みが出現するのか、どこに痛みが出現するのか確認することが必要です。

リトルリーグ肩

若年成長期の選手が投球動作の加速期にストレスを繰り返し受けることによって、上腕骨近位骨端線の離開を生じる疲労骨折の一種です。成長障害の原因になりますので、注意しなくてはいけないスポーツ障害であります。

野球に関しては、近年若年層の投球数制限を設けたりして怪我の予防に力を入れている競技です。

ただ、まだスポコンのような根性論も残っているのも事実です。

いかに使いすぎをなくせるのかが課題の一つになります。

野球肩のセルフケアとしては肩甲骨周囲のストレッチが有効です。また自宅で簡単に肩甲骨の柔軟性を高められるものでストレッチポールというものがあります。

ポールの上にあおむけになって乗ることで、背骨を支点に胸郭を開き、肩甲骨をリラックスした状態で動かすことが可能です。

なかなか肩甲骨を動かすことが出来ない場合はこのストレッチポールで簡単に行うことが出来ます。

肩甲骨だけではなく、背骨のストレッチにもなるので腰痛や肩こりなどの症状にもおすすめです。

動作改善としては、どの期で痛みが生じるのか、どこが炎症を起こしているのかを確認したうえで、投球の問題動作を改善していきます。投球動作も肩だけではなく、体幹の回旋や股関節の柔軟性、体幹筋バランスや肩関節周囲筋群の筋力トレーニングが必要になります。

今回は代表的なスポーツ障害を紹介させていただきました。スポーツを行う上で怪我や痛み、疲労はスポーツを行っている以上切っても切り離せません。

部活を行っている子供は「休んでいる間にレギュラーから外れてしまう。」

競技レベルが高いスポーツを行っている方は、「もっと練習に打ち込める体作りをしたい。」

そして健康づくりでスポーツを行っている方は「怪我の予防法やセルフケアの方法を知りたい。」

そういったお悩みを抱えていらっしゃいます。

私たち自身スポーツの現場で感じた事は、競技者本人、指導者、保護者の方々のスポーツ障害や外傷の知識不足です。本来スポーツ障害も外傷もきちんと理解していればリスクを下げることが出来ます。

また、怪我をした時に正しい処置を行うことが出来れば予後も変わってきます。

知らなかったことで、処置が遅れ、本当は続けたいのに諦めてしまった方も見てきています。

ですので、私達が整骨院で治療するのはもちろんですが今回のようなブログで情報を発信することでスポーツに関わる方に少しでも知識をお渡し出来たら、と思います。

一人でも多くの方が心から楽しんで、充実したスポーツを行えるよう私達が全力でサポートします。

困ったときは是非ご相談くださいね。

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腰痛

2020.12.26 | Category: 坐骨神経痛,整体,腰痛,鍼灸

腰という漢字は「月(にくづき)に要」といわれるように、身体に中心にありとても大切な箇所です。腰を痛めると日常生活にも多くの支障をきたすようになりますので1日でも早い症状の改善と、予防が必要になってきます。腰をかばっての日常生活は、さらなる腰痛の悪化と、日常生活の自由を奪う結果になるかもしれません。

腰痛は日本人が訴える症状の第1位で、総計開始から24年で49%増加というまさに「国民病」と言える疾患です(国民生活基本調査.2013)

職業性腰痛の総医療費は「年間約 820 億円」にのぼります。腰痛による休業や失業に起因する社会的損失は莫大なものになります。

皆さんもこんな経験ありませんか?

「朝起きてからずっと腰が重い」

「腰を動かすと痛みや違和感を感じる」

「長い時間の同じ姿勢を取るのがきつい」

「数分間、歩くと腰から足に痛みが出てくる」

「靴下やズボンを履く際に動きが悪い・痛む」

「足全体にシビレ感・冷感がある」

「病院では「レントゲンに問題ない」と言われたがずっと痛む」

「背骨が曲がっていると感じる」

以上のような事、そして腰に不調を感じたら、我慢せず早めにご来院ください。

腰痛でやっかいなのは「発症率」が高く「慢性化」「再発率」が高い。という事です。

腰痛の数字

◇発症率

・腰痛は日本人が訴える症状の第1位:統計開始から24年で49%増加(厚生労働省国民、生活基礎調査、2013)

・40 歳以上の約 2,800 万人が腰痛保有(男性では40-50歳代をピークに減少も、女性では年齢と共に骨粗鬆症と共に増加)

・時点有病率は約25%、年間羅患率は約43%、生涯羅患率約70%

◇再発率

・既往歴のない患者の22%、既往歴のある患者の56%が1年以内に再発し、全腰痛患者の再発率は60%

・痛みと活動障害は1か月で改善して82%が職場復帰を果たすものの、1年以内に73%が再発

◇慢性化率 

・一般住民の30%が慢性頚肩腕痛に、23%が慢性腰痛に苦しんでいる

・慢性痛患者の約50%が同時に慢性腰痛を抱えている

このように腰痛は、その他の疼痛性疾患よりもとても厄介な疾患と言えます。

しかし腰痛の特性である、この3つの要因は適切な知識と施術があれば十分改善します。

発症後、早い段階で施術を開始することで「再発率」「慢性化率」を限界まで引き下げることが可能です。

腰痛の定義

定義で確立したものはなく、主に疼痛部位発症からの有症期間、原因などにより定義される事が多く、一般的には触知可能な最下端の肋骨と殿溝の間の領域に位置する疼痛の総称とされます。症状の期間からは、

➀急性腰痛(発症からの期間が4週未満)

②亜急性腰痛(発症からの期間が4週以上から3ヵ月未満)

③慢性腰痛(発症 からの期間が3ヵ月以上)

に分類され、原因の明らかな腰痛(特異的腰痛)と明らかでない腰痛(非特異的腰痛)に分類されます。

腰痛の分類

腰痛は大きく分けて「特異的腰痛」「非特異的腰痛」に分類できます。

特異的腰痛とは重大疾患の可能性、生命を脅かすような重篤疾患や緊急手術を要する疾患(悪性腫瘍・脊椎感染症・骨折・馬尾症候群など)による腰痛で、全体の5~15%です。

非特異的腰痛は腰椎部・仙骨部・臀部・大腿部への動作時の痛みがあり、骨や神経に異常がなくても歪みからくる姿勢性の痛みや、各関節の代償運動など、この腰痛の多くはMRIやレントゲンなど画像検査で異常が見当ない原因が不確定な物です。全体の85~95%がこちらに該当します。

腰痛の原因は千差万別ですが、整骨院・鍼灸院では後者の非特異的腰痛の施術を非常に得意としています。

ですが、中には特異的腰痛(腰痛全体の5~15%)と呼ばれる悪性腫瘍や婦人科や泌尿器科など内臓の病気で腰痛が引き起こされている腰痛も存在しますので、鑑別が重要になります。私達も怪しいと思われる腰痛は病院を紹介させていただきます。

腰痛にはどんな原因があるのか

「筋筋膜性腰痛」「椎間関節性腰痛」「仙腸関節炎」などの「ぎっくり腰」(急性腰痛)と呼ばれるもの。

「椎間板ヘルニア」「腰部脊柱管狭窄症」「腰椎分離・すべり症」「変形性腰椎症」「圧迫骨折」などの器質的変化のあるもの。

「坐骨神経痛」「馬尾症候群」などの支配神経領域まで神経症状が出るもの、など症状も千差万別です。

原因も「この症状には100%これ!」というものはないもののしっかりとした問診・検査・カウンセリングで答えを導いていきます。

当院に通う腰痛患者さんで多いのは

「骨格の歪み」が原因の姿勢性の痛み
「背骨・骨盤の可動域の低下」が原因の痛み
「股関節、膝、足首の可動域の低下、代償」が原因の痛み
「日常生活・スポーツ活動などの筋肉疲労」が原因の痛み
         「東洋医学的な所見」が原因の痛み

などあげられ、以上のものはしっかりとした施術で改善できます。

腰痛とヘルニアの関係性

皆様はヘルニアという単語を聞いてどのような印象をお持ちでしょうか?痛そうに聞こえますか?

今まで「腰痛」=「ヘルニア」という常識が医学界を、世の中の常識でした。確かに腰痛患者さんには「ヘルニア」を訴える方が多いです。ですが最近の研究では「腰痛」=「ヘルニア」という常識は通用しません。

健常者(痛みの無い人)にも検査をしたら椎間板に異常が見つかった、というのが非常に多いのが分かってきました。つまり「痛くない人でもヘルニアを持っている人は多くいる」ということです。

ではどのぐらいの割合でしょうか??

「健常者の椎間板ヘルニアは76%・椎間板変性は85%」

→有痛性椎間板ヘルニア患者46名と健常者46名をMRIで比較

つまり、殆どの人がヘルニアをもっており、その多くの人が腰痛を発症していないという事です。

椎間板ヘルニアの特長をまとめると

・椎間板ヘルニアの殆どが「3か月以内に白血球に貪食され自然治癒する」

・椎間板ヘルニアを「持っている方が多数派」

・椎間板ヘルニアを持っている人の多くが腰痛を「発症していない」

・椎間板ヘルニアが出ている事より「椎間板ヘルニアを繰り返し誘発する姿勢」などの方が問題

・椎間板ヘルニア診断でも非特異的腰痛の可能性が高い

というものになります。

引用 椎間板ヘルニアの症状と治療および予防法

腰痛に関する世界各国の動き

世界にはさまざまな医療がある中で各国の腰痛症に関する独自のガイドラインが存在します。

代表的なものは以下の通りです。

■ Newzealand(2004)

■ European COST(2004)

■ 腰痛診療ガイドライン(2012)日本整形外科学会、日本腰痛学会

■ 腰痛診療ガイドライン(2019)日本整形外科学会、日本腰痛学会

■オーストラリア:Australasian Faculty of Musculoskeletal Medicine: Acute Low Back Pain Guide

■ノルウェー:Acute Low Back Pain Clinical Guidelines

■イギリス:Royal College of General Practitioners: Acute Low Back Pain Guide

■アメリカ:U.S. Agency for Health Care Policy and Research (1994)

■デンマーク:Danish Health Technology Assessment on Low Back Pain

■オランダ:Royal Dutch Society for Physical Therapy Clinical Guidelines

特にその中でも医学的根拠の高いのは「腰痛ガイドライン(Newzealand(2004)、European COST(2004)です。

腰痛ガイドラインとは多くの国で作成し使用されている腰痛を診る(治療する)うえでの「基準」となる物です。

では何故、この腰痛ガイドラインが作られたのでしょうか。その成り立ちは現代日本でも問題になっている「医療費高騰」という問題があったからです。

「慢性腰痛患者1人当たりの医療費は年間86~181万円($9千~1万9千)」

「1990年度における腰痛の直接医療費は1.2兆円($130億)超で毎年7%ずつ増加中」

とんでもないデータですね!この医療費高騰を防ぐため作られたのが「腰痛ガイドライン」と呼ばれるものです。

しかし、、、腰痛は世界からなくなっていないという悲しい現状があります。

「腰痛と重篤疾患」

腰痛を訴える方の少ない割合ではありますが見逃してはいけない患者さんがいらっしゃいます。

それが「レッドフラッグ」と呼ばれる患者さんです。

このレッドフラッグには臨床上、大きな意味があります。それは「重大な脊椎病変」の可能性があるかどうかを見極めるものであるという事です。

その為には以下のチェック項目が有効になります

■ 発症年齢が20歳未満か55歳超

■ 最近の激しい外傷歴(高所からの転落、交通事故など)

■ 進行性の絶え間ない痛み(夜間痛、楽な姿勢がない、動作と無関係)

■ 胸部痛

■ 悪性腫瘍の病歴

■ 長期間にわたる副腎皮質ホルモン(ステロイド剤)の使用歴

■ 非合法薬物の静脈注射、免疫抑制剤の使用、HIVポジティブ

■ 全般的な体調不良

■ 原因不明の体重減少

■ 腰部の強い屈曲制限の持続

■ 脊椎叩打痛

■ 身体の変形

■ 発熱

■ 膀胱直腸障害とサドル麻痺

などです。この項目に1つでも該当した場合は「重大な脊椎病変の可能性」を疑わなければいけません。

脊椎病変だけではなく腰痛には内臓器からの症状もあります。例えば、腎盂腎炎、腎結石症、膵炎、胆嚢症、胆石、前立腺炎、尿路結石、子宮内膜症などただの腰痛との見極めが大切になってきます。

腰痛の検査

腰痛症の徒手検査には大きく分けて以下の15種類が存在します。

患者さん、お一人お一人の状態を確認しながら必要な徒手検査を組み合わせて鑑別診断を行います。

1)下肢伸展挙上テスト(Straight Leg Raising test:SLR テスト)

2)Bragard test

3)Lasegue test

4)大腿神経伸展テスト(Femoral Nerve Stretch test:FNS テスト)

5)Bonnet test

6)Thomas test

7)Ely test

8)Patrick test

9)Newton test

10)Gaenslen’s test

11)Kemp test

12)Trendelenburg’s sign(Trendelenburg’s test)

13)Double Leg Raise test

14)健側下肢伸展挙上テスト(Well Leg Straight Raising test)

15)Flip test(詐病、心因性要因鑑別テスト)

当院での施術

・温熱療法

赤外線治療器を使用し慢性腰痛で固まってしまった腰~背中、臀部の筋肉の血流を改善し老廃物や痛みの発痛物質を除去していきます。

・電気療法

腰痛により、負担がかかって固まってしまった筋肉への柔軟性の向上を目的に行います。疼痛部位への痛みの軽減とともに、機能低下を起こしている筋肉への通電により可動性を獲得します。

・マニュピレーション

マッサージ的な施術で腰痛により、負担のかかった筋肉に徒手によりアプローチをしていきます。患部を含めた全身の筋肉を緩めていきます。

・整体治療

整体は骨盤や背骨、手足など体全体の骨格の歪みやズレの矯正と筋肉の調整をします。整体によって身体のバランスを正常にすることで、本来もっている身体機 能を取り戻して腰が痛む原因を根本的に治します。骨盤や背骨が正常になるということは、体の外側も内側も健康になるということです。

・鍼灸治療

鍼治療では皮膚の上から行うマッサージよりも、皮膚の下の深い所にある硬結部位(固まってしまった筋繊維)に直接アプローチすることで、痛みの原因となっている筋肉を緩めたり、発痛物質の除去や神経の圧迫の改善を行います。

灸治療では皮膚の上から習慣的な熱刺激を加えることで毛細血管を拡張させて発痛物質の除去、痛みを出している神経の興奮を沈静化させて疼痛の緩和を行います。

・メディセル筋膜療法

人が筋肉に痛みを感じるとき、多くの場合「筋膜」と呼ばれる筋肉の表面が緊張状態にあります。

この筋膜、筋肉の表面だけでなく体内隅々まで結合組織という形をとり張り巡らされているのですが、表皮のすぐ下側の部分にはリンパ液や水分があります。ここに発痛物質が溜まり、神経を刺激することで、痛みやコリ、むくみ、内出血といった症状が出てしまいます。このメディセル筋膜療法ではこの筋膜上の緊張を緩和させ痛みを取り除きます。

・オイルトリートメント

漢方薬が自然の生薬を口から摂取することに対し、アロマトリートメントは皮膚からオイルという形状の植物である精油を摂取することです。

ですので、アロマテラピーも漢方薬と同じく「病気そのものにこだわらず、体質を改善することによって健康に導く」という考え方に基づいています。

その理由から当院でのアロマテラピーを「メディカルハーブ療法」を取り入れています

・運動療法

ご来院日以外にもご自宅でセルフケアができるように指導を致します。腰痛により、機能低下が起こっている筋肉に対しての再教育、解剖生理学に基づいた正しい知識を指導し「正しい脊柱の位置、姿勢の保持」を目的として行います。

腰痛の手術に関して

患者さんから質問を受ける事の一つに「手術をした方が良いかどうか」というものがあります。

確かに痛みが強く、長引く場合にはそれも一つの選択肢になるかもしれません。ですが、すぐに決断し手術をする問う事はおススメできません。

「腰痛は一般的に手遅れになる」という事はありません。多角的に様々な手段を試してみる事をお勧めいたします。

一概に全ての手術が悪いとは言い切れません、実際、今の手術は昔に比べて精度が上がってるのは火を見るよりも明らかです〔傷は5センチだったのが7mmあれば十分のいう患者さんもいる〕

ただここで大事になってくるのが「切ったら最後、切った前と同じ組織状態には絶対に戻らない」という事です

参考文献:https://www.iwai.com/group/shokai/seikei-kijo.php

現状では有用性はそこまで高くないと考えられています。

また手術には少ないですがリスクも考えていかなければいけません

例えば、、、、「全身麻酔・手術侵襲に伴う心肺機能異常」「出血に伴う輸血」「術中・術後の麻痺「深部静脈血栓症」「術後誤嚥性肺炎」「術後感染」などなど、腰椎の手術で全身状態や生命の予後に関わる物は少ないとしてもリスクはゼロではありません。その中でも特に問題とされているのが

「術後腰下肢痛 Failed Back Surgery Syndrome : FBSS, Multiple operated back : MOB」

この術後腰下肢痛とはどういったものかといいますと

・腰椎手術を施行したにもかかわらず、腰下肢痛、しびれなどの症例が不変、残存、あるいは再発したものを指します。

・椎間板ヘルニアや脊椎症、変形すべり症、分離すべり症などの退行性腰椎部疾患由来と考えられる病態に対し、手術療法を選択し、手術後の種々の障害を呈している状態を指します。

・一般に、術後成績不良例と同義で、術前の症状が不変あるいは術後さらに、軽快している状態だけではなく、症状は術前よりも軽快しているが日常生活や社会生活の支障が残存し患者の満足がえられていない状態を指します。

・腰仙部神経根症はしばしばみられる。

・神経損傷後疼痛、椎間板原性疼痛、筋由来の疼痛、心理環境因子などが複雑に関与していることが多い。

・アメリカでは、頻度が高く、脊椎手術の適応、文化的背景などが発生率に関与していると思われる。

出典:小山なつ 「痛みと鎮痛の基礎知識」より

最後に

腰痛は肩こりや頭痛と同じくらい悩んでいる方が多い国民病とも言える症状です。大切なのは放っておかないこと。2週間以上続く腰痛、すぐ治るけど頻繁に繰り返す、何度もぎっくり腰をしている場合はすぐにご相談ください。

またご不明な点がございましたら気軽にお問い合わせくださいね。

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東洋医学と陰陽五行思想について

2020.12.08 | Category: 鍼灸

意外と身近にある東洋の哲学

東洋医学はエビデンス医学と言われる西洋医学と違い、陰陽五行思想という東洋哲理を人体にあてはめたものです。

「東洋医学ってエビデンスがないでしょう?」と言われてしまうのは、東洋医学はエビデンスを元にしているのではなく、宇宙の森羅万象の真理、哲学を人体にもあてはめたものであるからで、医学という名前でありながら元々は思想、哲学から成り立っているからです。

この陰陽五行思想は医学のみならず方位や暦、易学とも密接につながっています。

日本の人々は江戸時代まで陰陽五行思想を中心に生活をしていました。

「四六時中」という言葉がありますが、この言葉は江戸時代まで「二六時中」であったと言われています。

これは2×6=12、十二支で時間を表していた事から来る言葉です。

今年は子(ね)年、来年は丑(うし)年ですが、十二支は年を表すだけでなく、時間や方位も表していました。

例えば正午とは正(まさに)午(うまの)刻、今でも昼の十二時を「正午」と言いますね、この午の刻より前を午前、午の刻より後を午後と言う表現からもわかるように、十二支を時間の表現に使っていた名残が言葉に残っています。

地球儀を南北に切った線を「子午線」(しごせん)と言いますが、これも十二支で方角を表していた事から来ています。子(真北)の方角と午(真南)の方角をつないだ線を子午線と言うわけです。

時間や方位や暦、ここまで日本人の生活に密着していた陰陽五行思想ですが、現代の私達は西洋暦を使い、西洋数字の時間を使い、今では身近な存在ではなくなってしまいました。

私達現代人は明治維新で全てを西洋化したその先の時間を生きているからなのですが、ではこの哲学、陰陽五行思想は間違っているから、必要ないから切り捨てられてしまったのでしょうか?

個人的な意見ですがそうではないと感じます。

明治維新以来日本では一気に西洋化が進み、大戦の敗戦がそれに拍車をかけました。日本古来の文化は素晴らしい文化であったはずなのに敗戦によって自信も失ってしまったのだと思います。

ですが近年ではその行き過ぎた西洋化の悪い影響も出てきています。

今こそ日本人は、先人の方々がこの土地で1000年以上もの間大事にしてきた陰陽五行思想について、改めて大切にする時期ではないかと思います。

あらためてこの場をお借りして私達が行っている東洋医学と陰陽五行思想について説明させていただきます。

陰陽五行と今ではセットで表現しますが、これは元々別の理論で、先に「陰陽論」が成立し、その後に「五行論」に発展していったと言われています。

陰陽論

陰陽論は紀元前の中国で発生したと言われています。古代の人々は川の流れを龍に例えました。この龍は流域に肥沃の大地をもたらし、この川のおかげで人々の生活が成り立っていました。その反面、ひとたび大雨が降ると流域を水浸しにし、まさに龍が暴れるかのように人の生活を破壊する恐ろしい面を見せる。日頃は恩恵をもたらしてくれる川も恐ろしい顔を持っている。この事から古代の人は「物事は全て陰陽である」、すなわち全ての物事には「陰」「陽」があり、陰と陽は相反しながら、一方がなければもう一方も存在し得ない、宇宙の森羅万象は相反する陰陽によって消長盛衰している、と定義しました。

陰陽と言えばおなじみの「陰陽太極図」ですが、これは陰極まれば転じて陽となり、陽極まれば転じて陰となる、また陰の中にも陽があり、陽の中にも陰がある、陰陽のイメージを図にしたものです。

人間という存在も正に陰陽であり、何故なら男・女という相反する性質が存在しますね。陰陽を男女に例えると、男性が陽で女性が陰になりますが、確かに男性の中にも女性ホルモンが、女性の中にも男性ホルモンが存在する事を鑑みると、紀元前当時の医学では「ホルモン」などという物質の存在は判明していなかったはずですが、宇宙の森羅万象である陰陽論を人体にまで当てはめた感覚の的確さに驚きます。

一日の中にも陰陽があります。日が昇り(陽)、そして日が沈むと今度は月が昇ってくる(陰)、一日の中にも陰陽があり、そして人間も夜になると自然と副交感神経が優位になり休息に備えます。朝目覚めると交感神経が働き活動に備える。まるで自然界の陰陽、一日の陰陽の流れに呼応するかのように、人間の身体も交感神経→副交感神経→交感神経→副交感神経・・・と陰陽に対応している。まさに大宇宙の流れに対して、人体も小宇宙であると定義したのが東洋医学です。

当時はもちろん交感神経・副交感神経などという言葉や考え方はなかったでしょうが、近代医学の発展が東洋医学の哲学の正しさを証明しているかのように感じるのは私だけでしょうか?

五行論は陰陽論よりだいぶ後になって発達したと言われています。

五行論

陰陽の二極では表し切れないものを木・火・土・金・水の五元素に分けたものが五行論です。

(もっかどこんすい)または(もっかどきんすい)(もっかどごごんすい)とも読みます。

「木」が燃えて「火」を生じ、「火」が燃えつきると「土」になり、「土」が固まると「金」が生まれ、「金」が冷えると外側に「水」を生じ、「水」が「木」を育てる、また「木」が燃えて・・・これが永遠に循環していく。

この相手を生じる関係を「相生」(そうせい)の関係と表現します。

一方で「木」は「土」の養分を吸い取ってしまい、「火」は「金」を溶かしてしまい、「土」は「水」の勢いを止めてしまい、「金」は「木」を切ってしまい、「水」は「火」の勢いを止めてしまう、この相手を剋する関係を「相剋」(そうこく)の関係と表現します。

五行説が「木」から始まっているのはとても重要で、どうも天体と関係が深いようです。確かに木星・火星・土星・金星・水星・・・星の名前と同じですね。これらは惑わす星=「惑星」と言いますが、そもそも惑星とは恒星と違い、地上から見える周期が不規則な故に人を惑わせる星という意味でつけられた名前だそうです。

古代の人は、周期こそ違いますが、木星の周が地球の周と同じ円を描いている事をつかんでいました。

木星の事を「歳星」(さいせい)と呼び、木星が12年で天を一周する事から、周天を12等分したどこに歳星(木星)が来るかによって,十二に割り当てられた場所、地上の国々の命運が占われたのが五行説の起源だとも言われています。

要するに陰陽五行論とは陰と陽である太陽と月、そして五つの惑星による天体、占星術とは切っても切り離せない関係にありました。

この木火土金水を暦に当てはめ、時刻にあてはめ、季節や方位に当てはめたものが以下の図です。

そして何とこの五行論は人体の中にも当てはまりますね、という考え方をしたのが東洋医学の起源だと言われています。

肝・腎・脾・肺・腎の事を五臓六腑の「五臓」と言いますが、それぞれ木=肝、火=心、土=脾、金=肺、水=腎と、五臓が五行に対応していますね、と宇宙の五行の気の流れを人体の中にも捉えたのが東洋医学です。

個人的にはこの感覚の的確さに驚くばかりで、あまりにすごすぎて、まさか古代には文明の進んだ宇宙人でもいたのかなと想像したりするのですが、何故なら例えば木、木とは大木や草を表しますが、木=肝は人体の中で主に解毒をする臓器です。森羅万象の中で木や草は大気の清浄を担っており、肝も人体の中で同じような役割をする臓器ですね。人体の中にも宇宙(自然界)における「木」があるではないかと考えた古代の方々、本当に天才だと思いませんか?

「火」とは燃えさかる炎だったり太陽だったりを表しますが、火の臓器である心は血を循環させる臓器です。血を循環させる事で身体を温め、まさに心は身体の中の君主(帝王)、太陽です。

このように古代の人は、自然界の大宇宙に対して、人体を小宇宙に例え、「天人合一」(てんじんごういつ)・・・天(自然や大宇宙)と人(小宇宙)は合一(一つである、切っても切り離せない)と表現しました。

この天人合一思想は陰陽五行思想とともに東洋医学の基本概念になっています。

五臓に対して六腑、木=胆のう、火=小腸、土=胃、金=大腸、水=膀胱、これに三焦を足して六腑と言い、五臓を陰の臓、六腑を陽の腑と呼び、五臓六腑を陰と陽の五行で表しました。

西洋医学と東洋医学

現代の西洋医学が「脳」を重視するのに対し、「人体とは五臓六腑が中心である」という考え方をするのが東洋医学の考え方です。

これもあながち間違ってはいないようです。

何故なら近年の科学技術の進歩により顕微鏡の精度が上がり、今までは見えなかったような体内の微量物質が捉えられるようになってきました。この事で、実は脳から出ている様々なホルモンは脳だけが司っているのではなく、臓器からも信号を送っている事が段々とわかってきました。例えば今まで長い間、小腸はブラックボックスと呼ばれ、消化を行う臓器である事はわかってはいたものの、正確に小腸で何が行われているのかよくわかっていませんでした。技術の進歩により微量物質が捉えられるようになってきた事で、セロトニンやオキシトシンなどの脳内物質が主に小腸内の細胞が代謝する際に作られ、この小腸で代謝された微量のホルモンが脳に影響を与えているという事がわかってきました。脳から臓器に指令を出しているのではなく(もちろん一方通行ではなく脳から臓器への指令も行われていますが)、むしろ元々はその逆、臓器→脳に信号を送っているのではないかという事ですね。

このようにまるで現代医学技術の進歩がむしろ古代の東洋医学の正しさを証明するかのように、五臓六腑が人体の中心であると言った古代人の的確さに驚くばかりです。

東洋医学的な診断と病気の考え方

五臓六腑を重要視する東洋医学では、身体の外からは見えない臓器の様子を外からでも判別できないかと考えました。昔はレントゲンなどという技術がなかったので、身体の外から五臓六腑の様子を判別するしか方法がなかったわけです。まさか人体を切ってみるわけにはいかなかったのです。

ですので体表や体臭の変化を感じ取り、身体に直接触ったりする事で判別を行っていました。これらを望診(ぼうしん)・聞診(ぶんしん)・問診(もんしん)・切診(せっしん)、総称して四診(ししん)と言い、東洋医学ではとても重要な診断方法です。

望診の際には身体の外に出ている器官を観察し、この体表に出ている器官を東洋医学では「出口器官」と呼んでいますが、見えない五臓六腑の様子を、対応する「出口器官」の変化で感じ取っていました。

例えば木=肝の出口器官は「目」。肝や胆のうに異常があると、そことつながっている出口器官である「目」に異常が出ると昔の人は考えました。確かにお酒を飲み過ぎたり、肝臓の数値に異常がある時、目が充血したりする事はありませんか?もちろんコンタクトや目の乾燥による充血もありますが、そうでないのに目の充血が続く時、肝の調子を疑ってみるのも良いと思います。身体はサインを出してくれているのですね。

白目の色が黄色くなってくるのは肝臓の悪いサインです。

また火=心の出口器官は「舌」。心臓病の方が持ち歩いているニトロベンという薬は心臓を急に動かす作用がある薬ですが、この薬は「舌下投与」します。舌と心臓に密接な関係がある事は東洋医学でも数千年前から言われています。

また土=脾臓、胃、胃が疲れてくると口の両脇にできものができますね。「口」は土の出口器官です。

食いしん坊の私は若い頃、調子に乗って食べ過ぎてよく口の両脇が切れたりしておりました(笑)

辛い物などの刺激物を食べ過ぎた時にも口の脇が切れたりしますね。これは胃が荒れているサインです。

コロナ禍で非常に驚いたのは金=肺と大腸。肺の炎症であるコロナにかかるとまず匂いがしなくなってくると言われてますね。まだコロナの流行の初期だったと思いますが、某野球選手が毎朝飲むコーヒーの匂いが感じなくなって不思議に思いクリニックを受診したらコロナだったという事があったのを覚えていますか?彼は「匂いがしなくなったらコロナに気を付けてください」という大事な事を世間に教えてくれましたが、まさに東洋医学で「鼻」は金=肺と大腸の出口器官です。新型コロナという現代の新しい感染症でさえ、東洋医学の基礎概念から外れていない事に非常に驚きました。

年を取るにつれてどうしても耳が悪くなります。耳鳴り、耳から来る目眩に悩まされる妙齢の女性は非常に多いですが、「耳」は水=腎の出口器官です。腎は東洋医学では「先天の精」とも呼ばれ、「先天の精」とは人が持って生まれた生命エネルギーを表しています。若い頃はこの生命エネルギーに満ちあふれ、この先天の生命エネルギーが加齢で少なくなってくると「耳」に症状が出るという訳です。医療機関で加齢ですから仕方ないと言われ、耳の不快な症状を諦めている方は多いですが、どこに行っても治らない耳鳴りや目眩の症状が、鍼灸治療で良くなるケースは当院でも非常に多いです。耳鳴りや目眩でお困りでしたら鍼灸院も選択肢に入れて一度訪れてみてはいかがでしょうか?

肝腎要(かんじんかなめ)という言葉がありますが、五臓六腑はどれも重要な臓器ですが、特に肝・腎・要(心)が大事であるという古代の人の言葉です。

時刻の図を見ていただけるとわかるように、腎=水の時刻は21時~深夜1時、肝=木の時刻は午前3時~7時、この時間に人体の対応する臓器が活発に働くと言われています。ですから体内の水分のクリーニングは深夜に、食べ物の解毒は明け方に行われる事になります。寝る3時間前には食べない方が良いというのは、深夜に消化に負担をかけると大事な肝や腎の働きが鈍くなってしまうからでもあるのだと思います。

冬には尿意が近くなるように、水=腎=冬、対応する季節にその臓器が活発に働くとも言われています。

またその季節にはその季節に対応する臓器をしっかり養生すると次の季節が元気に過ごせるとも言われており、冬は腎の養生、春は肝の養生、夏は心の養生、秋は肺の養生をすると、その次に巡る季節が元気に過ごせると言われています。

まもなく冬至を迎え、まさに陰極まる季節になりますが、冬は腎の養生、水分を取り過ぎない、また逆に取らなさ過ぎず、飲み物の温度にも気を付ける事が重要です。冬に冷たい物の取り過ぎる事は腎に影響しますので非常に注意が必要です。また土が水を剋しますが、土=甘い物の取り過ぎは腎を傷めます。白米ばかり食べるような食生活や甘い御菓子の取り過ぎは、特に冬場にはくれぐれも注意しましょう。

色彩も五行に分けられ、五行では水(=腎)は、黒や藍色を表します。これは食べ物の色と密接な関係があると言われ、腎の養生には黒い食べ物や冬に旬を迎えるものが良いと言われています。冬には黒ごまや黒豆、お米を黒米にする、ひじきなどの海藻類などを積極的に取るようにすると良いようです。

昔から白髪が多くなったり髪が薄くなった時に海藻を食べると良いと言われますが、まさに髪は腎と密接なつながりがあります。最近急に髪の変化が気になる・・・という方は腎が弱くなってきた証かもしれません。

身体を冷やさないよう、黒いものをしっかり食べて腎の養生をする、そして鍼灸治療に通う(!)、こんな事も髪のトラブル対策になるかもしれません。

今日は陰陽五行思想と東洋医学について記事にしてみました。

セドナグループでは(コロナ禍でここのところ少しお休みしていますが)定期的に陰陽五行セミナーも開催しています。ご興味があればそちらもご参加いただけると幸いです。

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美容鍼

2019.09.18 | Category: 鍼灸

こんにちは

セドナ整骨院の金子です。

 

美容鍼についてお問い合わせをいただくことが多いのでこちらでも紹介していきますね!

 

Q,なぜ鍼をすると美容効果があるのですか?

A,お肌は「内臓の鏡」と言われており、吹き出物、顔色が悪くなる、たるみ、しわ、むくみといった症状は内臓からのサインなのです。もちろん日焼け、お肌のケア不足といった直接的なダメージもありますが、気をつけててもお肌の異常が起こる場合の多くは内臓やストレスが関係しています。

お顔に鍼をするのはもちろん、それに加えて内臓の調子を整えるツボに鍼灸をすることで調子が整い、身体の内側からキレイになることができるのです。

 

Q,鍼って痛くありませんか?

A,当院では小学生から上は90代の方まで幅広く鍼灸を受けていらっしゃいますのでご安心ください。ですが美容鍼はお顔に鍼をする特殊な施術ですのでチクリとした刺激を感じる場合があります。それも極力防ぐために最も細く刺激の少ない鍼を使用します。

それでも施術中に鍼による痛みや不安を感じる場合は気軽にご相談ください。

 

Q,美容鍼って何に効くのですか?

A,当院で最も得意としているのはお顔のむくみ、アゴの筋肉の緊張緩和、引き締めをすることでお顔をスッキリとシャープにする美容鍼です。化粧のノリが悪い、朝起きると顔がパンパンにむくんでいる、結婚式が控えている、お顔を小さく見せたいといったお悩みの方に特に受けていただきたいと思っています。

 

 

当院の美容鍼の考え方は「体質改善」の延長に美容があるということです。

毎日お顔のケアをしていてもなかなか変化が出ないな…と思ったことはありませんか?お肌は内臓の鏡と言われているようにお顔だけでなく内側へのアプローチが大切になってきます。

健康になりながらキレイになりたい、という方はぜひご相談ください。

 

 

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生理痛と鍼灸

2019.06.28 | Category: 体質へのアプローチ,自律神経失調症,鍼灸

こんにちは

セドナ整骨院・鍼灸院公津の杜院の金子です。

 

生理に関わるトラブルを抱えている女性は結構多いのではないでしょうか。

 

特に排卵から月経が始まるまでの間に表れる様々な不快症状は月経前症候群(PMS)と呼ばれ、ほとんどの女性が経験していると言われています。

 

微熱、だるさ、頭痛、眠気、腹痛や腰痛など、ひどくなると立てなくなるほどの症状に襲われます。

 

PMSは病気ではないものの、やはりない、または軽いに越したことはありませし、重すぎる症状は生活に支障をきたします。

 

周期的に来るため原因を何とかしないと毎月しんどい思いをすることになります。鎮痛剤なども多様したり長期に渡って使用するのは身体にも負担になってしまいます。

 

生理痛は自律神経の乱れによるホルモン分泌の異常が原因として多くあります。

そういう方の多くは腰もゆがんでおり、子宮や骨盤の筋肉が異常な収縮を起こし、血行も悪くなってしまっています。

月経周期の乱れなども含め、生理痛や女性のお悩みには足の「三陰交」というツボを使います。

内くるぶしから指4本分上で、すねの骨の際にあります。足の冷え、お腹の調子が悪い方も三陰交にお灸をするとよく効きます。

 

セルフケア用の火を使わないお灸「せんねん灸太陽」という商品もあります。

ネットでも買えますし、当院の受付でも購入可能です。使わない方がいいケースもありますので、興味がある方はお問い合わせください。

 

よく「生理中なんですが行っても大丈夫ですか・・・?」と仰る方が多いのですが、生理のときこそ鍼灸治療を受けるべきだと思います。

 

生理前から生理中にかけての鍼灸治療は婦人科系の働きを促し、ホルモンバランスを整えるのに丁度よいタイミングです。

生理前の頭痛や腰痛、むくみなど、なくなってとても楽になります。

 

 

一部ですがしんきゅうコンパスに投稿いただきました口コミです。

 

はまさん 30代女性

「生理による腰痛で相談してからずっとお世話になっています。時期になると腰がズーンと重くて何とも言えない痛みでずっと悩んでいました(*_*;

腰や手足に鍼をしたり、アロマを使ったり院長先生のトークなど楽しく治療を受けているうちに段々軽くなってきて、長年悩んでいたのに今ではすっきり軽くなりました!

体質改善についてすごい物知りなのでいつも質問攻めにしてしてしまっています。
初めてのときは料金高いかな?って思っていましたが通ってみて納得です。

分からないことは教えてくださいますし、色々なところに通わずともセドナさんで済むので病院やエステなども行く機会がほとんどなくなりました。

これからもメンテナンスで通わせていただきます♪

ありがとうございます。」

 

 

 

セドナ整骨院・鍼灸院公津の杜院

0476‐27‐3949

 

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