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12月, 2020 | セドナ整骨院・鍼灸院・カイロプラクティック 公津の杜院の記事一覧

腰痛

2020.12.26 | Category: 坐骨神経痛,整体,腰痛,鍼灸

腰という漢字は「月(にくづき)に要」といわれるように、身体に中心にありとても大切な箇所です。腰を痛めると日常生活にも多くの支障をきたすようになりますので1日でも早い症状の改善と、予防が必要になってきます。腰をかばっての日常生活は、さらなる腰痛の悪化と、日常生活の自由を奪う結果になるかもしれません。

腰痛は日本人が訴える症状の第1位で、総計開始から24年で49%増加というまさに「国民病」と言える疾患です(国民生活基本調査.2013)

職業性腰痛の総医療費は「年間約 820 億円」にのぼります。腰痛による休業や失業に起因する社会的損失は莫大なものになります。

皆さんもこんな経験ありませんか?

「朝起きてからずっと腰が重い」

「腰を動かすと痛みや違和感を感じる」

「長い時間の同じ姿勢を取るのがきつい」

「数分間、歩くと腰から足に痛みが出てくる」

「靴下やズボンを履く際に動きが悪い・痛む」

「足全体にシビレ感・冷感がある」

「病院では「レントゲンに問題ない」と言われたがずっと痛む」

「背骨が曲がっていると感じる」

以上のような事、そして腰に不調を感じたら、我慢せず早めにご来院ください。

腰痛でやっかいなのは「発症率」が高く「慢性化」「再発率」が高い。という事です。

腰痛の数字

◇発症率

・腰痛は日本人が訴える症状の第1位:統計開始から24年で49%増加(厚生労働省国民、生活基礎調査、2013)

・40 歳以上の約 2,800 万人が腰痛保有(男性では40-50歳代をピークに減少も、女性では年齢と共に骨粗鬆症と共に増加)

・時点有病率は約25%、年間羅患率は約43%、生涯羅患率約70%

◇再発率

・既往歴のない患者の22%、既往歴のある患者の56%が1年以内に再発し、全腰痛患者の再発率は60%

・痛みと活動障害は1か月で改善して82%が職場復帰を果たすものの、1年以内に73%が再発

◇慢性化率 

・一般住民の30%が慢性頚肩腕痛に、23%が慢性腰痛に苦しんでいる

・慢性痛患者の約50%が同時に慢性腰痛を抱えている

このように腰痛は、その他の疼痛性疾患よりもとても厄介な疾患と言えます。

しかし腰痛の特性である、この3つの要因は適切な知識と施術があれば十分改善します。

発症後、早い段階で施術を開始することで「再発率」「慢性化率」を限界まで引き下げることが可能です。

腰痛の定義

定義で確立したものはなく、主に疼痛部位発症からの有症期間、原因などにより定義される事が多く、一般的には触知可能な最下端の肋骨と殿溝の間の領域に位置する疼痛の総称とされます。症状の期間からは、

➀急性腰痛(発症からの期間が4週未満)

②亜急性腰痛(発症からの期間が4週以上から3ヵ月未満)

③慢性腰痛(発症 からの期間が3ヵ月以上)

に分類され、原因の明らかな腰痛(特異的腰痛)と明らかでない腰痛(非特異的腰痛)に分類されます。

腰痛の分類

腰痛は大きく分けて「特異的腰痛」「非特異的腰痛」に分類できます。

特異的腰痛とは重大疾患の可能性、生命を脅かすような重篤疾患や緊急手術を要する疾患(悪性腫瘍・脊椎感染症・骨折・馬尾症候群など)による腰痛で、全体の5~15%です。

非特異的腰痛は腰椎部・仙骨部・臀部・大腿部への動作時の痛みがあり、骨や神経に異常がなくても歪みからくる姿勢性の痛みや、各関節の代償運動など、この腰痛の多くはMRIやレントゲンなど画像検査で異常が見当ない原因が不確定な物です。全体の85~95%がこちらに該当します。

腰痛の原因は千差万別ですが、整骨院・鍼灸院では後者の非特異的腰痛の施術を非常に得意としています。

ですが、中には特異的腰痛(腰痛全体の5~15%)と呼ばれる悪性腫瘍や婦人科や泌尿器科など内臓の病気で腰痛が引き起こされている腰痛も存在しますので、鑑別が重要になります。私達も怪しいと思われる腰痛は病院を紹介させていただきます。

腰痛にはどんな原因があるのか

「筋筋膜性腰痛」「椎間関節性腰痛」「仙腸関節炎」などの「ぎっくり腰」(急性腰痛)と呼ばれるもの。

「椎間板ヘルニア」「腰部脊柱管狭窄症」「腰椎分離・すべり症」「変形性腰椎症」「圧迫骨折」などの器質的変化のあるもの。

「坐骨神経痛」「馬尾症候群」などの支配神経領域まで神経症状が出るもの、など症状も千差万別です。

原因も「この症状には100%これ!」というものはないもののしっかりとした問診・検査・カウンセリングで答えを導いていきます。

当院に通う腰痛患者さんで多いのは

「骨格の歪み」が原因の姿勢性の痛み
「背骨・骨盤の可動域の低下」が原因の痛み
「股関節、膝、足首の可動域の低下、代償」が原因の痛み
「日常生活・スポーツ活動などの筋肉疲労」が原因の痛み
         「東洋医学的な所見」が原因の痛み

などあげられ、以上のものはしっかりとした施術で改善できます。

腰痛とヘルニアの関係性

皆様はヘルニアという単語を聞いてどのような印象をお持ちでしょうか?痛そうに聞こえますか?

今まで「腰痛」=「ヘルニア」という常識が医学界を、世の中の常識でした。確かに腰痛患者さんには「ヘルニア」を訴える方が多いです。ですが最近の研究では「腰痛」=「ヘルニア」という常識は通用しません。

健常者(痛みの無い人)にも検査をしたら椎間板に異常が見つかった、というのが非常に多いのが分かってきました。つまり「痛くない人でもヘルニアを持っている人は多くいる」ということです。

ではどのぐらいの割合でしょうか??

「健常者の椎間板ヘルニアは76%・椎間板変性は85%」

→有痛性椎間板ヘルニア患者46名と健常者46名をMRIで比較

つまり、殆どの人がヘルニアをもっており、その多くの人が腰痛を発症していないという事です。

椎間板ヘルニアの特長をまとめると

・椎間板ヘルニアの殆どが「3か月以内に白血球に貪食され自然治癒する」

・椎間板ヘルニアを「持っている方が多数派」

・椎間板ヘルニアを持っている人の多くが腰痛を「発症していない」

・椎間板ヘルニアが出ている事より「椎間板ヘルニアを繰り返し誘発する姿勢」などの方が問題

・椎間板ヘルニア診断でも非特異的腰痛の可能性が高い

というものになります。

引用 椎間板ヘルニアの症状と治療および予防法

腰痛に関する世界各国の動き

世界にはさまざまな医療がある中で各国の腰痛症に関する独自のガイドラインが存在します。

代表的なものは以下の通りです。

■ Newzealand(2004)

■ European COST(2004)

■ 腰痛診療ガイドライン(2012)日本整形外科学会、日本腰痛学会

■ 腰痛診療ガイドライン(2019)日本整形外科学会、日本腰痛学会

■オーストラリア:Australasian Faculty of Musculoskeletal Medicine: Acute Low Back Pain Guide

■ノルウェー:Acute Low Back Pain Clinical Guidelines

■イギリス:Royal College of General Practitioners: Acute Low Back Pain Guide

■アメリカ:U.S. Agency for Health Care Policy and Research (1994)

■デンマーク:Danish Health Technology Assessment on Low Back Pain

■オランダ:Royal Dutch Society for Physical Therapy Clinical Guidelines

特にその中でも医学的根拠の高いのは「腰痛ガイドライン(Newzealand(2004)、European COST(2004)です。

腰痛ガイドラインとは多くの国で作成し使用されている腰痛を診る(治療する)うえでの「基準」となる物です。

では何故、この腰痛ガイドラインが作られたのでしょうか。その成り立ちは現代日本でも問題になっている「医療費高騰」という問題があったからです。

「慢性腰痛患者1人当たりの医療費は年間86~181万円($9千~1万9千)」

「1990年度における腰痛の直接医療費は1.2兆円($130億)超で毎年7%ずつ増加中」

とんでもないデータですね!この医療費高騰を防ぐため作られたのが「腰痛ガイドライン」と呼ばれるものです。

しかし、、、腰痛は世界からなくなっていないという悲しい現状があります。

「腰痛と重篤疾患」

腰痛を訴える方の少ない割合ではありますが見逃してはいけない患者さんがいらっしゃいます。

それが「レッドフラッグ」と呼ばれる患者さんです。

このレッドフラッグには臨床上、大きな意味があります。それは「重大な脊椎病変」の可能性があるかどうかを見極めるものであるという事です。

その為には以下のチェック項目が有効になります

■ 発症年齢が20歳未満か55歳超

■ 最近の激しい外傷歴(高所からの転落、交通事故など)

■ 進行性の絶え間ない痛み(夜間痛、楽な姿勢がない、動作と無関係)

■ 胸部痛

■ 悪性腫瘍の病歴

■ 長期間にわたる副腎皮質ホルモン(ステロイド剤)の使用歴

■ 非合法薬物の静脈注射、免疫抑制剤の使用、HIVポジティブ

■ 全般的な体調不良

■ 原因不明の体重減少

■ 腰部の強い屈曲制限の持続

■ 脊椎叩打痛

■ 身体の変形

■ 発熱

■ 膀胱直腸障害とサドル麻痺

などです。この項目に1つでも該当した場合は「重大な脊椎病変の可能性」を疑わなければいけません。

脊椎病変だけではなく腰痛には内臓器からの症状もあります。例えば、腎盂腎炎、腎結石症、膵炎、胆嚢症、胆石、前立腺炎、尿路結石、子宮内膜症などただの腰痛との見極めが大切になってきます。

腰痛の検査

腰痛症の徒手検査には大きく分けて以下の15種類が存在します。

患者さん、お一人お一人の状態を確認しながら必要な徒手検査を組み合わせて鑑別診断を行います。

1)下肢伸展挙上テスト(Straight Leg Raising test:SLR テスト)

2)Bragard test

3)Lasegue test

4)大腿神経伸展テスト(Femoral Nerve Stretch test:FNS テスト)

5)Bonnet test

6)Thomas test

7)Ely test

8)Patrick test

9)Newton test

10)Gaenslen’s test

11)Kemp test

12)Trendelenburg’s sign(Trendelenburg’s test)

13)Double Leg Raise test

14)健側下肢伸展挙上テスト(Well Leg Straight Raising test)

15)Flip test(詐病、心因性要因鑑別テスト)

当院での施術

・温熱療法

赤外線治療器を使用し慢性腰痛で固まってしまった腰~背中、臀部の筋肉の血流を改善し老廃物や痛みの発痛物質を除去していきます。

・電気療法

腰痛により、負担がかかって固まってしまった筋肉への柔軟性の向上を目的に行います。疼痛部位への痛みの軽減とともに、機能低下を起こしている筋肉への通電により可動性を獲得します。

・マニュピレーション

マッサージ的な施術で腰痛により、負担のかかった筋肉に徒手によりアプローチをしていきます。患部を含めた全身の筋肉を緩めていきます。

・整体治療

整体は骨盤や背骨、手足など体全体の骨格の歪みやズレの矯正と筋肉の調整をします。整体によって身体のバランスを正常にすることで、本来もっている身体機 能を取り戻して腰が痛む原因を根本的に治します。骨盤や背骨が正常になるということは、体の外側も内側も健康になるということです。

・鍼灸治療

鍼治療では皮膚の上から行うマッサージよりも、皮膚の下の深い所にある硬結部位(固まってしまった筋繊維)に直接アプローチすることで、痛みの原因となっている筋肉を緩めたり、発痛物質の除去や神経の圧迫の改善を行います。

灸治療では皮膚の上から習慣的な熱刺激を加えることで毛細血管を拡張させて発痛物質の除去、痛みを出している神経の興奮を沈静化させて疼痛の緩和を行います。

・メディセル筋膜療法

人が筋肉に痛みを感じるとき、多くの場合「筋膜」と呼ばれる筋肉の表面が緊張状態にあります。

この筋膜、筋肉の表面だけでなく体内隅々まで結合組織という形をとり張り巡らされているのですが、表皮のすぐ下側の部分にはリンパ液や水分があります。ここに発痛物質が溜まり、神経を刺激することで、痛みやコリ、むくみ、内出血といった症状が出てしまいます。このメディセル筋膜療法ではこの筋膜上の緊張を緩和させ痛みを取り除きます。

・オイルトリートメント

漢方薬が自然の生薬を口から摂取することに対し、アロマトリートメントは皮膚からオイルという形状の植物である精油を摂取することです。

ですので、アロマテラピーも漢方薬と同じく「病気そのものにこだわらず、体質を改善することによって健康に導く」という考え方に基づいています。

その理由から当院でのアロマテラピーを「メディカルハーブ療法」を取り入れています

・運動療法

ご来院日以外にもご自宅でセルフケアができるように指導を致します。腰痛により、機能低下が起こっている筋肉に対しての再教育、解剖生理学に基づいた正しい知識を指導し「正しい脊柱の位置、姿勢の保持」を目的として行います。

腰痛の手術に関して

患者さんから質問を受ける事の一つに「手術をした方が良いかどうか」というものがあります。

確かに痛みが強く、長引く場合にはそれも一つの選択肢になるかもしれません。ですが、すぐに決断し手術をする問う事はおススメできません。

「腰痛は一般的に手遅れになる」という事はありません。多角的に様々な手段を試してみる事をお勧めいたします。

一概に全ての手術が悪いとは言い切れません、実際、今の手術は昔に比べて精度が上がってるのは火を見るよりも明らかです〔傷は5センチだったのが7mmあれば十分のいう患者さんもいる〕

ただここで大事になってくるのが「切ったら最後、切った前と同じ組織状態には絶対に戻らない」という事です

参考文献:https://www.iwai.com/group/shokai/seikei-kijo.php

現状では有用性はそこまで高くないと考えられています。

また手術には少ないですがリスクも考えていかなければいけません

例えば、、、、「全身麻酔・手術侵襲に伴う心肺機能異常」「出血に伴う輸血」「術中・術後の麻痺「深部静脈血栓症」「術後誤嚥性肺炎」「術後感染」などなど、腰椎の手術で全身状態や生命の予後に関わる物は少ないとしてもリスクはゼロではありません。その中でも特に問題とされているのが

「術後腰下肢痛 Failed Back Surgery Syndrome : FBSS, Multiple operated back : MOB」

この術後腰下肢痛とはどういったものかといいますと

・腰椎手術を施行したにもかかわらず、腰下肢痛、しびれなどの症例が不変、残存、あるいは再発したものを指します。

・椎間板ヘルニアや脊椎症、変形すべり症、分離すべり症などの退行性腰椎部疾患由来と考えられる病態に対し、手術療法を選択し、手術後の種々の障害を呈している状態を指します。

・一般に、術後成績不良例と同義で、術前の症状が不変あるいは術後さらに、軽快している状態だけではなく、症状は術前よりも軽快しているが日常生活や社会生活の支障が残存し患者の満足がえられていない状態を指します。

・腰仙部神経根症はしばしばみられる。

・神経損傷後疼痛、椎間板原性疼痛、筋由来の疼痛、心理環境因子などが複雑に関与していることが多い。

・アメリカでは、頻度が高く、脊椎手術の適応、文化的背景などが発生率に関与していると思われる。

出典:小山なつ 「痛みと鎮痛の基礎知識」より

最後に

腰痛は肩こりや頭痛と同じくらい悩んでいる方が多い国民病とも言える症状です。大切なのは放っておかないこと。2週間以上続く腰痛、すぐ治るけど頻繁に繰り返す、何度もぎっくり腰をしている場合はすぐにご相談ください。

またご不明な点がございましたら気軽にお問い合わせくださいね。

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当院の健康への考え方

2020.12.20 | Category: 体質へのアプローチ,自律神経失調症

こんにちは、セドナ整骨院・鍼灸院公津の杜院院長の金子です。

当院ではただ単に痛みを取るというだけではなく、つらい症状でお悩みの方の症状が改善し、健康の不安から解放され、やりたいことを思う存分やれる人生を送るサポートをさせていただいています。

私が大切にしている言葉のひとつに「健康がすべてではない、しかし健康を失うとすべてを失う」というものがあります。人生は健康になるためだけにある訳ではありません。ですが、心身共に健康でなければできないことも多くあります。たくさんの方が通院され診させていただく中で60歳、70歳とご年齢を重ねていくごとにお身体がボロボロになり「もっと早く身体に気をつけていれば良かった…」と後悔の念を抱いている方を本当に、本当にたくさん見てきました。

まだ若いからと無理な働き方を続けたり、暴飲暴食を繰り返すことで早いうちに身体が壊れていく方もいらっしゃいます。もちろん通院によって良くなる方も大勢いらっしゃいます。ですが負担をかけて積み重なってきたことが1日2日で魔法のように原因が消え去ることはありません。私達も1日でも早く良くなっていただきたいという想いで一人ひとりに全力を尽くしていきますが、1回の通院で二度と再発のしない無敵な身体が手に入れることはとても難しいことです。

車は走ったら排気ガスが出て、タイヤがすり減り、オイルなども汚れていきます。人間も同様に動いても動かなくても老廃物は出ますし、歳とともに代謝は落ち、骨や筋肉も弱くなっていきます。車はパーツを換えれば済みますが、私達の身体はそうはいきません。今の身体で人生100年時代を戦っていかねばなりません。薬を飲めば治る、まだ大丈夫、放っておいても勝手に治る。そんな言葉を聞くたびに「縁ある方すべてに健康の大切さをお伝えしよう」と私の中で想いが強くなっていきます。健康であなたらしくイキイキとした人生を送っていただきたいと切に願っています。

ここでは健康と体質改善について考え方を紹介していきたいと思います。何かのヒントになりましたら幸いです。

当院で考える「健康」とは?

「健康とは、病気でないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にあることをいいます。」

引用WHO 健康の定義について https://japan-who.or.jp/about/who-what/identification-health/

こちらはWHO(世界保健機関)が健康とは何かを定義したもので、世界的に広く知られているものです。健康というとどこも痛くない、病気がない、血液検査の数字で何も引っ掛からなかった。といったことがまず頭に浮かびます。それももちろん重要なのですが、そういった身体的なことに加えてこの定義には「精神的にも」「社会的にも」という言葉があることが特徴です。それはストレスの少ない精神状態であったり、良好な人間関係、人生にやりがいや生きがいといったものがあるか、ということも広義で含まれています。

少々話が逸れますが、10代、20代の若年層の死因の1番は何だと思いますか。 実は自ら命を絶つことです。若い世代ですから身体に不調がある方は割合としては少ないでしょう。ですが精神的な健康が損なわれたり、人間関係に恵まれなかったり、存在意義が分からなくなってしまうことで多くの若者が自ら命を絶ってしまっているのです。年齢的には人生いくらでもやり直せるはずですが、精神的・社会的な不健康というのはそういった選択をさせてしまうほど、人間にとって強い動機となってしまうのです。

私達は身体の健康はもちろん、心の健康も同じくらい大切だと考えています。

順番としては身体が先です。顔の口角を上げると楽しい気持ちになってきたり、胸を張って堂々と歩いていると悩みが小さく思えてきたり、明るく振舞っていたらやる気が出てきたりと、心は身体に引っ張られていくケースが多くあります。もちろん心が身体に作用するケースもたくさんあります。ですが、身体がボロボロの状態から心だけ上げていくのはなかなか難しいものです。まずは身体が軽く、姿勢が改善して「気」の巡りが良くなれば気持ちや心も必ず変わってきます。

自律神経の働きと東洋医学

自律神経について

私達が特に重要視しているのは自律神経の働き東洋医学の観点です。自律神経とは私達の身体を自動でコントロールしてくれている生命維持装置のような働きをする神経です。心臓が24時間365日止まらないのも、食べたものを消化したり排泄したりするのも、汗をかくのも、血圧を調整するのもすべて自律神経の働きです。

自律神経には交感神経副交感神経の2つの種類があります。交感神経は闘争・逃走の神経と言われ、身体を活動させるときに活発に働きます。朝起きて昼にピークとなり、夕方になるにつれて働きを弱めていきます。血圧や血糖値を上げたり、心拍数を増やしたりすることで身体を動かしやすい状態にしてくれています。

副交感神経は休息・内臓の神経の神経言われ、身体を休め修復を促進させたり、内臓を動かすときに活発に働きます。夕方から夜にピークとなり、朝になるにつれて働きを弱めていきます。血流を良くしたり、眠くさせたり、消化・吸収などの内臓機能の働きをコントロールし壊れないように身体を守ってくれています。自律神経がバランスよく働くことで活動と休息にメリハリが生まれ、健やかに過ごすことができるのです。

はるか昔は日の出とともに起き、日の入りとともに休息し夜に寝る、という自然の流れに合わせてオンとオフが明確に分かれていました。ですが現代では起床と就寝の時間がバラバラだったり、休むはずの時間に仕事をしていたり、お腹が減っていないのに食べてしまったりと自律神経の働きに規則性が無くなってきています。特に起きて活動している時間が圧倒的に増えていることで「交感神経」が過剰に働いてしまっている方がとても増えてきています。交感神経は活動するのに適した状態をつくる神経です。交感神経が長く働くと高血圧、高血糖などになりやすくなり、休まる時間が減ることで不眠や慢性疲労、血行不良などを引き起こし様々な不調の原因となってしまいます。

自律神経が乱れる原因を一言で言えば「ストレス」です。精神的なストレスだけでなく、食べ物や薬、酸欠など外から体内に入ってくる化学的なストレス、季節に変化による環境的なストレス、そして骨格のゆがみや筋肉の左右差、運動不足といった構造的・肉体的なストレスも自律神経を乱す大きな原因となっています。

東洋医学について

自律神経と併せて東洋医学的な観点もとても重要視しています。東洋医学で特に重要なのは「全体を診て病の原因を探ること」です。レントゲンやMRIといった機器などを使い腰が痛ければ腰に、胃が痛ければ胃に原因を求めるのが西洋(現代)医学の特徴です。細かく探ることで小さな変化も見つけることができるという強みがあります。西洋医学と東洋医学は良い悪いではなくどちらも必要な観点です。

東洋医学は2000年以上前に生まれ、科学が発達していない時代からありますので、「自然と人間の調和」が根底の考えとなっています。大きな視点から見れば人間も自然の一部ですので、自然の移ろいによって体内でも様々な変化が起こっています。夏は汗をかいて体温を調整し、冬は冷えて血流が悪くなるので血圧を上げて血の循環を確保したりと季節ごとに身体は変わっていきます。

東洋医学では五臓六腑が健やかに働き「気」「血」「水分」が過不足なく体内を滞りなく巡っている状態が健康だと言われています。「気」という考え方が入ると少々難しくなりますが、日本語でも気合、気持ち、気の持ちよう、元気、活気など、気という漢字が使われる慣用句がとても多くありますよね。例えば家族や友人を見たときに何となくいつもと様子が違い「大丈夫?」と声をかけたら「実は調子が悪くて…」と、雰囲気で調子が悪いのが分かったという経験はありませんか。それはその人が発する気がいつもと違うのが分かったからですよね。目には見えなくても感じているもの、それが「気」というもので、東洋医学では健康を診るときに欠かせない要素となっています。

この気・血・水分ですが五臓六腑の働きによって作られています。五臓六腑は季節の過ごし方、感情や食べ物、生活習慣などと深い結びつきがあります。季節の変わり目に体調を崩す、悩みすぎて食欲がなくなったり、驚いて失禁してしまったりというのは何となく耳にしたことはあるのではないでしょうか。人間の身体は必要な栄養素だけ取っていれば健康になるのではなく、いかに自然と調和し、自然に合わせた過ごし方をしているのかが大切です。朝起きて夜寝て、旬のものを食べ、し過ぎ・しなさ過ぎは避け中庸(ちゅうよう)を心掛け、感情を整理する方法を身につける。これは2000年以上前から言われてきたことなのです。

自律神経のバランスを整えるには精神的、構造的(肉体的)、化学的、環境的なストレスへの対応が大切です。更に東洋医学的な観点を加え、五臓六腑を健やかに保つために季節の過ごし方、食養生、感情面もなども一緒に診ていきます。

健康の考え方

ここでは健康について別の角度から考えていきます。この先の内容は先天的、遺伝、突発的な難病の方には当てはまらないこともありますので、積み重なってできた体調不良のことを書かせていただきます。

健康は習慣によって作られています。健康の大きな要素として「食事」「睡眠」「運動」「ストレス管理」というものがあります。これらを自信を持って対策している、という方はなかなか少ないかもしれませんね。実はこのことに問題があると考えています。人生において健康は全てではありませんが、健康でなければできないこともたくさん出てきます。どんなにお金があっても、どんなに自由時間があっても身体の調子が悪いとできないことがあります。

こんなにも重要なことなのに私達は健康のことを知る機会がありません。それこそ学校教育の中に「健康」という授業があっても良いと思っています。例え大きな病気がなくても、痛みや疲労は人を消極的にさせてしまいます。痛みがあることでイライラしてしまったり、人に優しくできなかったり、疲れるからやめておこうと何かを諦めてしまったりしたことはありませんか。不調があることで選択肢が減り、もしかしたら結果的に人生の様々な選択肢が減ってきていることもあります。

私自身も自律神経の乱れからめまい、高音難聴、慢性疲労で一時期何もやる気が起きなくなってしまった時期がありました。気持ちがあっても身体が動くことを拒否している状態でした。健康のプロフェッショナルなはずなのにまさか自分が体調を崩すとは…とそれまでの行いを強く反省しました。そこから生活習慣を改め睡眠時間を確保し、食事や運動習慣も見直し、また友人の鍼灸師の力も借りて何とか復活をしました。そこで強く感じたのが「健康はすべてではない、しかし健康を失うとすべて失う。」という言葉だったのです。

では健康になるにはどうすれば良いのでしょうか。もちろん人それぞれ生活習慣も違えばかかっているストレス、性別も体力も全てが違います。これをすればオールOK!というものはありません。ですが健康に近づくための今も昔も変わらない原理原則というものがあります。私達はこの健康の原理原則というものを中心に皆様にお伝えをしています。

どこかで健康について授業があるわけではないので、ほとんどの方が健康に関して自己流になってしまっています。実はこの自己流というのは良いところもありますが、決して近道ではありません。プロスポーツ選手で一流の方ほどトレーナーやコーチという存在がいます。これは自分では気が付けないところを指摘してもらったり、効率的・効果的に良い方向へ導いてもらうためについてもらっています。スポーツ選手は活躍できる期間に制限があるため1日でも早く上手くなり、ケガして戦線離脱している期間も極力短くしなければならないからです。

極端な例ではありますが、私達も皆様に1日でも早く健康に、そしてつらい症状から解放され、ご自身の人生をイキイキと元気に過ごしていただきたいという想いから健康情報の普及に力を入れています。

腰痛の人は腰痛になる生活習慣があり、肩こりの人は肩こりになる生活習慣があります。逆に、健康な人は健康になる生活習慣を持っています。習慣とは怖いもので、意識的に行っていることと無意識に行っていることがあります。例えば、靴を履くときに左右どちらの足から履きますか?荷物を持つときにどちらの手で持ちますか?普段考えずに行っている行動で実は左右差を生む行動というのがたくさんあります。慢性的につらい症状で悩んでいる方は生活の中で無意識で行われている、身体に良くない習慣をひとつずつ良い習慣に変えていかないとなりません。症状は決して天から降ってくるのではなく、ほとんどが習慣の中で作り出されてしまっているのです。

健康の4大要素

睡眠

日本人は慢性的な睡眠不足と言われています。とある研究では14日間6時間睡眠を続けると、2回徹夜したのと同じくらいのダメージが脳にかかると言われています。「6時間って結構寝ている方じゃないの?」と思われるかもしれませんが、世界的に見ても日本の平均時間は短い方なのです。すぐに病気に直結するものではありませんが、疲れが取れにくい、寝起きが悪い、日中眠さやだるさがあるといった病名がつかないような不調の原因となります。

この小さな積み重ねが何年も蓄積すると大きな不調の原因にもなります。睡眠時間は最低でも7時間は確保したいところです。睡眠は時間があれば取ればいいや、と思われがちですがしっかり寝るために夜の時間をデザインするという考え方が非常に重要になります。早く寝るためにはどうするか、また仮に早く寝れなかったとしてもその中で深く寝るためにはどうするかが重要になってきます。良質な睡眠は1日の活力を生み、生涯の健康の土台となります。

食事

現在の生活の中で意図して断食をしなければ1日何にも飲まず食わずの日を作っているという方は少ないのではないでしょうか。つまり胃や腸は365日×年齢分ほぼ休まず働き続けている非常に負担のかかる臓器です。2017年の罹患数の多いがんの順位としては男性では1位前立腺、2位胃、3位大腸で、女性では1位乳房、2位大腸、3位肺、4位に胃と男女ともに上位に消化器系が入ってきます。負担が多いのが分かりますね。

食事面で大切なのはビタミンやたんぱく質などの栄養素ももちろん大切ですし、場合によっては食事指導などもさせていただきますが、食事量の見直しも非常に重要な要素です。「腹八分目は医者いらず」ということわざがあるのですが、食べ過ぎや間食を変えるだけでも消化器にかかる負担は大きく変わります。食べ物の消化を良くする方法、腸活、便からの健康判断の方法なども併せてアドバイスさせていただいています。

運動

厚生労働省のHPでは「身体活動量が多い者や、運動をよく行っている者は、総死亡、虚血性心疾患、高血圧、糖尿病、肥満、骨粗鬆症、結腸がんなどの罹患率や死亡率が低いこと、また、身体活動や運動が、メンタルヘルスや生活の質の改善に効果をもたらすことが認められている。更に高齢者においても歩行など日常生活における身体活動が、寝たきりや死亡を減少させる効果のあることが示されている」と運動の効果について上げ、同ページにて積極的な運動を推奨しています。

引用 厚生労働省HP  https://www.mhlw.go.jp/www1/topics/kenko21_11/b2.html

特にふくらはぎは第二の心臓と言われるように、足の筋肉を使うことで重力によって下半身に溜まったリンパ液や血液をポンプのように押し上げてくれます。心臓に血液が戻れば戻るほど、その分押し出そうとして血液が全身を巡っていきます。1日に1万歩は歩きましょうと言われていますが、なかなか続けるのは難しいものですよね。なので最初は1分間のストレッチから推奨しています。

運動習慣は細く長く続けるのが大切です。長い人生の中で最終的にしっかり運動できるようになれば大丈夫ですので、少しずつ、小さなハードルをクリアしていけば良いのです。運動に興味が出てくれば少し時間を長くしたり、外に歩きに行ったり、何かのついでに運動したいということであればエアロバイクを購入して家でこぐのもオススメです。最近ではYouTubeでトレーニングの動画がたくさん出ていたり、ニンテンドースイッチのリングフィットといったゲーム感覚でできるツールもあります。自分にあった方法を見つけて継続し、どんな方法でも「1日1運動」を習慣にすることが大切です。

ストレス管理

睡眠、食事、運動と続き、残るはストレス管理です。ストレスと自律神経は密接に関係しており、適度なストレスは身体を強くしてくれますが、持続的または強いストレスは自律神経の交感神経を興奮させ、不調の原因となります。その中でストレス管理の技術は楽に生きるためにとても重要な役割を果たします。私達は温度差や天気、食べ過ぎ、飲みすぎなど様々なストレスを受けていますが、やはり人生で大きく問題となるのは精神的ストレスだと思います。構造的・肉体的ストレスは施術で解消をしていきます。

ひとつの事象に対してどのような意味付け(解釈)をするかによってストレスが1にも100にも変化します。つまりほとんどのストレスは自分の意味付けによって自分の中で作ってしまっているのです。コップの半分まで水が入っていたとして「あと半分もある」ととらえるのか「もう半分しかない」ととらえるのか、どう意味付けするかによって受け取り方が変わってきます。例えば上司に怒られた時にも「私はなんてダメなんだろう」と「至らない点を指摘していただきありがとうございます。自分の成長に繋げよう」ととらえるのではやはり大きく変わってきます。そんな風に考えることなんてできない、怒られたらむかつく!という方もいるかもしれません。

でも相手を変えることはできません。変えられるのは常に自分だけなのです。当院では選択理論心理学の考え方に基づき、ストレス管理の方法をお伝えさせていただきます。肩の力を抜いて、いかに気分よく生きるかのトレーニングをしていきます。

最後に

当院では「丁寧な説明」「根本への施術」「健康情報の普及」を大切にしています。これはご自身の身体について知り、更に正しい健康への知識を身につけていただき、施術と併せて自分で自分の健康を守れるようになっていただきたいという想いが込められています。一人ひとりが自分らしくイキイキとした人生を歩むお手伝いをしていきます。

セドナ整骨院・鍼灸院公津の杜院

院長 金子竜太

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東洋医学と陰陽五行思想について

2020.12.08 | Category: 鍼灸

意外と身近にある東洋の哲学

東洋医学はエビデンス医学と言われる西洋医学と違い、陰陽五行思想という東洋哲理を人体にあてはめたものです。

「東洋医学ってエビデンスがないでしょう?」と言われてしまうのは、東洋医学はエビデンスを元にしているのではなく、宇宙の森羅万象の真理、哲学を人体にもあてはめたものであるからで、医学という名前でありながら元々は思想、哲学から成り立っているからです。

この陰陽五行思想は医学のみならず方位や暦、易学とも密接につながっています。

日本の人々は江戸時代まで陰陽五行思想を中心に生活をしていました。

「四六時中」という言葉がありますが、この言葉は江戸時代まで「二六時中」であったと言われています。

これは2×6=12、十二支で時間を表していた事から来る言葉です。

今年は子(ね)年、来年は丑(うし)年ですが、十二支は年を表すだけでなく、時間や方位も表していました。

例えば正午とは正(まさに)午(うまの)刻、今でも昼の十二時を「正午」と言いますね、この午の刻より前を午前、午の刻より後を午後と言う表現からもわかるように、十二支を時間の表現に使っていた名残が言葉に残っています。

地球儀を南北に切った線を「子午線」(しごせん)と言いますが、これも十二支で方角を表していた事から来ています。子(真北)の方角と午(真南)の方角をつないだ線を子午線と言うわけです。

時間や方位や暦、ここまで日本人の生活に密着していた陰陽五行思想ですが、現代の私達は西洋暦を使い、西洋数字の時間を使い、今では身近な存在ではなくなってしまいました。

私達現代人は明治維新で全てを西洋化したその先の時間を生きているからなのですが、ではこの哲学、陰陽五行思想は間違っているから、必要ないから切り捨てられてしまったのでしょうか?

個人的な意見ですがそうではないと感じます。

明治維新以来日本では一気に西洋化が進み、大戦の敗戦がそれに拍車をかけました。日本古来の文化は素晴らしい文化であったはずなのに敗戦によって自信も失ってしまったのだと思います。

ですが近年ではその行き過ぎた西洋化の悪い影響も出てきています。

今こそ日本人は、先人の方々がこの土地で1000年以上もの間大事にしてきた陰陽五行思想について、改めて大切にする時期ではないかと思います。

あらためてこの場をお借りして私達が行っている東洋医学と陰陽五行思想について説明させていただきます。

陰陽五行と今ではセットで表現しますが、これは元々別の理論で、先に「陰陽論」が成立し、その後に「五行論」に発展していったと言われています。

陰陽論

陰陽論は紀元前の中国で発生したと言われています。古代の人々は川の流れを龍に例えました。この龍は流域に肥沃の大地をもたらし、この川のおかげで人々の生活が成り立っていました。その反面、ひとたび大雨が降ると流域を水浸しにし、まさに龍が暴れるかのように人の生活を破壊する恐ろしい面を見せる。日頃は恩恵をもたらしてくれる川も恐ろしい顔を持っている。この事から古代の人は「物事は全て陰陽である」、すなわち全ての物事には「陰」「陽」があり、陰と陽は相反しながら、一方がなければもう一方も存在し得ない、宇宙の森羅万象は相反する陰陽によって消長盛衰している、と定義しました。

陰陽と言えばおなじみの「陰陽太極図」ですが、これは陰極まれば転じて陽となり、陽極まれば転じて陰となる、また陰の中にも陽があり、陽の中にも陰がある、陰陽のイメージを図にしたものです。

人間という存在も正に陰陽であり、何故なら男・女という相反する性質が存在しますね。陰陽を男女に例えると、男性が陽で女性が陰になりますが、確かに男性の中にも女性ホルモンが、女性の中にも男性ホルモンが存在する事を鑑みると、紀元前当時の医学では「ホルモン」などという物質の存在は判明していなかったはずですが、宇宙の森羅万象である陰陽論を人体にまで当てはめた感覚の的確さに驚きます。

一日の中にも陰陽があります。日が昇り(陽)、そして日が沈むと今度は月が昇ってくる(陰)、一日の中にも陰陽があり、そして人間も夜になると自然と副交感神経が優位になり休息に備えます。朝目覚めると交感神経が働き活動に備える。まるで自然界の陰陽、一日の陰陽の流れに呼応するかのように、人間の身体も交感神経→副交感神経→交感神経→副交感神経・・・と陰陽に対応している。まさに大宇宙の流れに対して、人体も小宇宙であると定義したのが東洋医学です。

当時はもちろん交感神経・副交感神経などという言葉や考え方はなかったでしょうが、近代医学の発展が東洋医学の哲学の正しさを証明しているかのように感じるのは私だけでしょうか?

五行論は陰陽論よりだいぶ後になって発達したと言われています。

五行論

陰陽の二極では表し切れないものを木・火・土・金・水の五元素に分けたものが五行論です。

(もっかどこんすい)または(もっかどきんすい)(もっかどごごんすい)とも読みます。

「木」が燃えて「火」を生じ、「火」が燃えつきると「土」になり、「土」が固まると「金」が生まれ、「金」が冷えると外側に「水」を生じ、「水」が「木」を育てる、また「木」が燃えて・・・これが永遠に循環していく。

この相手を生じる関係を「相生」(そうせい)の関係と表現します。

一方で「木」は「土」の養分を吸い取ってしまい、「火」は「金」を溶かしてしまい、「土」は「水」の勢いを止めてしまい、「金」は「木」を切ってしまい、「水」は「火」の勢いを止めてしまう、この相手を剋する関係を「相剋」(そうこく)の関係と表現します。

五行説が「木」から始まっているのはとても重要で、どうも天体と関係が深いようです。確かに木星・火星・土星・金星・水星・・・星の名前と同じですね。これらは惑わす星=「惑星」と言いますが、そもそも惑星とは恒星と違い、地上から見える周期が不規則な故に人を惑わせる星という意味でつけられた名前だそうです。

古代の人は、周期こそ違いますが、木星の周が地球の周と同じ円を描いている事をつかんでいました。

木星の事を「歳星」(さいせい)と呼び、木星が12年で天を一周する事から、周天を12等分したどこに歳星(木星)が来るかによって,十二に割り当てられた場所、地上の国々の命運が占われたのが五行説の起源だとも言われています。

要するに陰陽五行論とは陰と陽である太陽と月、そして五つの惑星による天体、占星術とは切っても切り離せない関係にありました。

この木火土金水を暦に当てはめ、時刻にあてはめ、季節や方位に当てはめたものが以下の図です。

そして何とこの五行論は人体の中にも当てはまりますね、という考え方をしたのが東洋医学の起源だと言われています。

肝・腎・脾・肺・腎の事を五臓六腑の「五臓」と言いますが、それぞれ木=肝、火=心、土=脾、金=肺、水=腎と、五臓が五行に対応していますね、と宇宙の五行の気の流れを人体の中にも捉えたのが東洋医学です。

個人的にはこの感覚の的確さに驚くばかりで、あまりにすごすぎて、まさか古代には文明の進んだ宇宙人でもいたのかなと想像したりするのですが、何故なら例えば木、木とは大木や草を表しますが、木=肝は人体の中で主に解毒をする臓器です。森羅万象の中で木や草は大気の清浄を担っており、肝も人体の中で同じような役割をする臓器ですね。人体の中にも宇宙(自然界)における「木」があるではないかと考えた古代の方々、本当に天才だと思いませんか?

「火」とは燃えさかる炎だったり太陽だったりを表しますが、火の臓器である心は血を循環させる臓器です。血を循環させる事で身体を温め、まさに心は身体の中の君主(帝王)、太陽です。

このように古代の人は、自然界の大宇宙に対して、人体を小宇宙に例え、「天人合一」(てんじんごういつ)・・・天(自然や大宇宙)と人(小宇宙)は合一(一つである、切っても切り離せない)と表現しました。

この天人合一思想は陰陽五行思想とともに東洋医学の基本概念になっています。

五臓に対して六腑、木=胆のう、火=小腸、土=胃、金=大腸、水=膀胱、これに三焦を足して六腑と言い、五臓を陰の臓、六腑を陽の腑と呼び、五臓六腑を陰と陽の五行で表しました。

西洋医学と東洋医学

現代の西洋医学が「脳」を重視するのに対し、「人体とは五臓六腑が中心である」という考え方をするのが東洋医学の考え方です。

これもあながち間違ってはいないようです。

何故なら近年の科学技術の進歩により顕微鏡の精度が上がり、今までは見えなかったような体内の微量物質が捉えられるようになってきました。この事で、実は脳から出ている様々なホルモンは脳だけが司っているのではなく、臓器からも信号を送っている事が段々とわかってきました。例えば今まで長い間、小腸はブラックボックスと呼ばれ、消化を行う臓器である事はわかってはいたものの、正確に小腸で何が行われているのかよくわかっていませんでした。技術の進歩により微量物質が捉えられるようになってきた事で、セロトニンやオキシトシンなどの脳内物質が主に小腸内の細胞が代謝する際に作られ、この小腸で代謝された微量のホルモンが脳に影響を与えているという事がわかってきました。脳から臓器に指令を出しているのではなく(もちろん一方通行ではなく脳から臓器への指令も行われていますが)、むしろ元々はその逆、臓器→脳に信号を送っているのではないかという事ですね。

このようにまるで現代医学技術の進歩がむしろ古代の東洋医学の正しさを証明するかのように、五臓六腑が人体の中心であると言った古代人の的確さに驚くばかりです。

東洋医学的な診断と病気の考え方

五臓六腑を重要視する東洋医学では、身体の外からは見えない臓器の様子を外からでも判別できないかと考えました。昔はレントゲンなどという技術がなかったので、身体の外から五臓六腑の様子を判別するしか方法がなかったわけです。まさか人体を切ってみるわけにはいかなかったのです。

ですので体表や体臭の変化を感じ取り、身体に直接触ったりする事で判別を行っていました。これらを望診(ぼうしん)・聞診(ぶんしん)・問診(もんしん)・切診(せっしん)、総称して四診(ししん)と言い、東洋医学ではとても重要な診断方法です。

望診の際には身体の外に出ている器官を観察し、この体表に出ている器官を東洋医学では「出口器官」と呼んでいますが、見えない五臓六腑の様子を、対応する「出口器官」の変化で感じ取っていました。

例えば木=肝の出口器官は「目」。肝や胆のうに異常があると、そことつながっている出口器官である「目」に異常が出ると昔の人は考えました。確かにお酒を飲み過ぎたり、肝臓の数値に異常がある時、目が充血したりする事はありませんか?もちろんコンタクトや目の乾燥による充血もありますが、そうでないのに目の充血が続く時、肝の調子を疑ってみるのも良いと思います。身体はサインを出してくれているのですね。

白目の色が黄色くなってくるのは肝臓の悪いサインです。

また火=心の出口器官は「舌」。心臓病の方が持ち歩いているニトロベンという薬は心臓を急に動かす作用がある薬ですが、この薬は「舌下投与」します。舌と心臓に密接な関係がある事は東洋医学でも数千年前から言われています。

また土=脾臓、胃、胃が疲れてくると口の両脇にできものができますね。「口」は土の出口器官です。

食いしん坊の私は若い頃、調子に乗って食べ過ぎてよく口の両脇が切れたりしておりました(笑)

辛い物などの刺激物を食べ過ぎた時にも口の脇が切れたりしますね。これは胃が荒れているサインです。

コロナ禍で非常に驚いたのは金=肺と大腸。肺の炎症であるコロナにかかるとまず匂いがしなくなってくると言われてますね。まだコロナの流行の初期だったと思いますが、某野球選手が毎朝飲むコーヒーの匂いが感じなくなって不思議に思いクリニックを受診したらコロナだったという事があったのを覚えていますか?彼は「匂いがしなくなったらコロナに気を付けてください」という大事な事を世間に教えてくれましたが、まさに東洋医学で「鼻」は金=肺と大腸の出口器官です。新型コロナという現代の新しい感染症でさえ、東洋医学の基礎概念から外れていない事に非常に驚きました。

年を取るにつれてどうしても耳が悪くなります。耳鳴り、耳から来る目眩に悩まされる妙齢の女性は非常に多いですが、「耳」は水=腎の出口器官です。腎は東洋医学では「先天の精」とも呼ばれ、「先天の精」とは人が持って生まれた生命エネルギーを表しています。若い頃はこの生命エネルギーに満ちあふれ、この先天の生命エネルギーが加齢で少なくなってくると「耳」に症状が出るという訳です。医療機関で加齢ですから仕方ないと言われ、耳の不快な症状を諦めている方は多いですが、どこに行っても治らない耳鳴りや目眩の症状が、鍼灸治療で良くなるケースは当院でも非常に多いです。耳鳴りや目眩でお困りでしたら鍼灸院も選択肢に入れて一度訪れてみてはいかがでしょうか?

肝腎要(かんじんかなめ)という言葉がありますが、五臓六腑はどれも重要な臓器ですが、特に肝・腎・要(心)が大事であるという古代の人の言葉です。

時刻の図を見ていただけるとわかるように、腎=水の時刻は21時~深夜1時、肝=木の時刻は午前3時~7時、この時間に人体の対応する臓器が活発に働くと言われています。ですから体内の水分のクリーニングは深夜に、食べ物の解毒は明け方に行われる事になります。寝る3時間前には食べない方が良いというのは、深夜に消化に負担をかけると大事な肝や腎の働きが鈍くなってしまうからでもあるのだと思います。

冬には尿意が近くなるように、水=腎=冬、対応する季節にその臓器が活発に働くとも言われています。

またその季節にはその季節に対応する臓器をしっかり養生すると次の季節が元気に過ごせるとも言われており、冬は腎の養生、春は肝の養生、夏は心の養生、秋は肺の養生をすると、その次に巡る季節が元気に過ごせると言われています。

まもなく冬至を迎え、まさに陰極まる季節になりますが、冬は腎の養生、水分を取り過ぎない、また逆に取らなさ過ぎず、飲み物の温度にも気を付ける事が重要です。冬に冷たい物の取り過ぎる事は腎に影響しますので非常に注意が必要です。また土が水を剋しますが、土=甘い物の取り過ぎは腎を傷めます。白米ばかり食べるような食生活や甘い御菓子の取り過ぎは、特に冬場にはくれぐれも注意しましょう。

色彩も五行に分けられ、五行では水(=腎)は、黒や藍色を表します。これは食べ物の色と密接な関係があると言われ、腎の養生には黒い食べ物や冬に旬を迎えるものが良いと言われています。冬には黒ごまや黒豆、お米を黒米にする、ひじきなどの海藻類などを積極的に取るようにすると良いようです。

昔から白髪が多くなったり髪が薄くなった時に海藻を食べると良いと言われますが、まさに髪は腎と密接なつながりがあります。最近急に髪の変化が気になる・・・という方は腎が弱くなってきた証かもしれません。

身体を冷やさないよう、黒いものをしっかり食べて腎の養生をする、そして鍼灸治療に通う(!)、こんな事も髪のトラブル対策になるかもしれません。

今日は陰陽五行思想と東洋医学について記事にしてみました。

セドナグループでは(コロナ禍でここのところ少しお休みしていますが)定期的に陰陽五行セミナーも開催しています。ご興味があればそちらもご参加いただけると幸いです。

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